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LegalOn

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AI-NATIVE
Legal Ops
8.3 /10

これは何か

LegalOn は、汎用のチャット画面ではなく弁護士が書いた playbook を中心に組み立てられた、企業法務向けの AI 契約レビュー基盤です。中核となるループは Review です。相手方のドラフトを Web アプリまたは Microsoft Word のアドインに投入すると、LegalOn が playbook に照らして確認し、根拠と代替文言を添えた redline を返します。その周りに、Assistant(質問・要約・起草)、Playbooks(50 以上の既製レビュー基準と自社の基準)、依頼の受付から完了までを追跡する Matter Management、締結済み契約からデータを取り出す Vault、他言語でレビューと redline を行い変更を原文の言語で返す Translate が並びます。エンティティ管理と取締役会管理は、2025 年 10 月の Fides 買収で加わりました。同社は 2017 年に東京で創業し、2025 年 7 月に Goldman Sachs Growth Equity 主導のシリーズ E で 5,000 万 USD を調達し(累計調達額 2 億 USD、投資家には SoftBank Vision Fund を含む)、あわせて OpenAI と出資を伴わない技術提携を結びました。2025 年 10 月には ARR 100 億円、約 6,700 万 USD を突破したと発表しています。2026 年 4 月のリリースでは顧客基盤を 8,000 組織以上としています。

  • playbook が製品に同梱されている。 LegalOn 自身の弁護士が書いた 50 以上のレビュー基準が初日から使えます。これは、レビューエンジンを買うことと、レビューエンジンに加えて playbook 作成の 1 四半期を買うことの差です。2026 年 2 月に提供が始まった Playbook Agent は、既存のテンプレートやレビュー指針から playbook を生成します。
  • 法域カバレッジが差になる。 2026 年 4 月の International Playbooks リリースで、米国外 23 か国の NDA と MSA のレビュー基準が追加され、それぞれ当該法域の弁護士がレビューしています。EU とシンガポールのデータレジデンシー選択肢も加わりました。これは準拠法のカバレッジを、自分で書く prompt ではなくコンテンツとして提供するものであり、EU・英国・APAC の契約を扱うチームが LegalOn を候補に挙げる理由そのものです。
  • エージェントは redline だけでなく受付とトリアージも担う。 Intake Agent は依頼に欠けている情報を事業部門に問い合わせ、Triage Agent(2026 年 2 月時点で早期アクセス)は低リスクの契約を自動承認するかエスカレーションします。これにより LegalOn は Word アドインというカテゴリを越え、legal ops 担当者の 1 週間を食いつぶす待ち行列の管理に踏み込みます。

価格の実際

LegalOn の価格ページは Core Review、Contracting Suite、Productivity Suite の 3 つの階層を挙げていますが、どれにも金額を載せていません。すべてデモ経由で、Core Review に無料トライアルが付きます。ベンダーが最後に公開したセルフサーブの金額は、1 席の Individual プランで年間払い月額 550 USD(年 6,600 USD)でしたが、現在はページから外れています。競合が公開している内訳は、全モジュール込みのチーム席をユーザーあたり年 8,000 USD 前後、5 席導入を年 40,000 USD 前後としていますが、これは利害関係者による見積もりであってベンダーの数字ではなく、交渉の上限として扱うべきもので、見積書ではありません。予算化で効いてくるのは構造です。Review の席単価を土台に、Matter Management、Vault、Translate、国際 playbook パックといった有料モジュールがそれぞれ金額を押し上げます。初年度に実際に有効化するモジュールだけを見積もり、そのモジュール一覧をメールのやり取りではなく発注書に載せてください。

最適な相手

複数の国で同種の契約を繰り返し締結する企業の法務・legal ops チーム、つまり NDA、MSA、DPA、注文書を扱い、レビュー基準を自分で書き起こさずに適用したいチームです。LegalOn が最も強いのは、制約が国境をまたぐ契約のレビュー処理量であり、チームが 3〜25 人の場合です。レビュアー間の一貫性が問題になる程度には大きく、弁護士をもう 1 人採用することが答えにならない程度には小さい規模です。

法律事務所向けの基盤として LegalOn を買ってはいけません。これはテーブルの企業法務側のために作られており、訴訟、事務所水準のリサーチ、案件請求は別の場所の仕事です。CLM でもありません。契約のレビューと分析は行いますが、保管・承認ルーティング・更新期日の system of record は今あるところに残ります。また、月に数件の契約しかレビューしない 1 人法務や 2 人チームでは、価格の下限に届きません。

代替案との比較

Spellbook は Word ネイティブの契約 AI で最大の利用規模を持ち、99 USD の下限を公開しています。作業が起草寄りのとき、予算が小さいとき、法務部門ではなく事務所であるときに選んでください。Ivo は同じ企業法務のレビューと playbook という仕事で最も近い競合です。契約が単一法域に収まり、締結済み契約のポートフォリオ分析が欲しいときに選び、案件ごとに準拠法が変わるときは LegalOn を選んでください。Harvey は enterprise と BigLaw の極で、大量の商用レビューよりもリサーチと訴訟に軸足があります。GC AI は席あたり 500 USD の下限を公開し、アドバイザリー業務も担います。労務やコンプライアンスの質問を同じ画面で扱い、営業との通話前に価格を試算したいときに選んでください。Legora はこのセグメントで最も速く伸びている新規参入で、最初の 100 万 USD からおよそ 18 か月で ARR 1 億 USD に到達しました。Word ネイティブの起草品質が playbook の広さより優先するなら、比較検討すべき相手です。シニア弁護士がすべてのドラフトを手で読むという現状維持に対しては、レビューの待ち行列がボトルネックであり、契約が基準を成り立たせる程度に反復的である場合にこそ LegalOn が勝ちます。

注意点

  • 85% の時間削減という数字はベンダー発表です。 出典は LegalOn 自身のプレスリリースと顧客事例であり、独立した監査ではありません。ガード:自社の実契約 30〜50 件で有償 PoC を回し、シニアレビュアーに「自分ならこう書いた」を基準として redline を採点させ、見せられた数字ではなく自分で測った見落とし率で契約可否を判断してください。
  • 見積もりが膨らむのはモジュールの積み上げです。 基本階層はレビューで、Matter Management、Vault、Translate、国際 playbook は別建てです。ガード:有効化するつもりのモジュールをすべて含んだ席あたりの総額を書面で取り、そのうえで SpellbookGC AI の公開下限と比べてください。LegalOn の基本階層を競合の全部込み定価と比べると、LegalOn が大幅に有利に見えてしまいます。
  • 公開された MCP サーバーがなく、名前の挙がる DMS 連携もありません。 接点は Word アドイン、Web アプリ、Slack や Teams からの受付です。iManage や NetDocuments 向けのコネクタは発表されておらず、エージェントを接続する MCP エンドポイントもありません。ガード:締結済み契約を DMS で保管しているなら、PoC の段階で取り込みと書き出しの経路を確認し、アドインが届かない範囲は手動アップロードを前提に見積もってください。
  • playbook を自社向けに分岐させた時点で、その鮮度は自社の責任になります。 LegalOn は法改正に合わせて自社の基準を維持しますが、その上に作った独自 playbook の保守は自社に移ります。古い playbook は、すでに取っていない立場に沿った自信ありげな redline を生みます。ガード:独自 playbook ごとに責任者を決め、毎月その redline を抜き取りで確認してずれを捕まえてください。